平成27年度 秋の研修会「講演会」を開催しました。

期日 :10月18日(日)

会場 :由利本荘市西目シーガル

講師 : 加藤明美 氏(秋田県写真協会会長)
演題 : 「熊との出合い」


 当日は市内で各種事業が行われており、参加者が少ないのではと心配しましたが、43名の参加を得ることができました。
 加藤先生は19才頃から写真を撮り始め、30年前ぐらいから動物をテーマにした写真を撮り続けていらっしゃいます。特にカモシカをテーマに撮影されてきたのですが、後に秋田市仁別の森をフィールドに熊の写真を撮るようになりました。加藤先生が撮影された100枚にも及ぶ熊の写真、時には動画を交えながら、知っているようで知らない野生の熊の生態について大変興味深いお話しを伺うことができました。そのお話しの一端を紹介いたします。
 現在秋田県には、1000頭ぐらいの熊が生息しているそうですが、先生によれば、秋田市仁別ザブーン周囲1kmの森に5頭は確実に生息しているそうです。それから類推すると県内にはもっと多くの熊が生息していてもおかしくないと話されました。県内の生息分布を見ると本荘由利地域はそんなに多くなく、平成27年の熊の目撃件数は由利本荘市、にかほ市でそれぞれ21件となっています。
 先生は車に乗る時に、ラジオなどを消し五感を働かせ、動物の気配を感じるようにしているそうです。熊は食べ物があるところ、隠れるところがある(例えば杉林)場所にいるそうです。
そんなところを、五感を働かせ、熊が来ると予想しながら待っていると熊に出会えるのだそうです。
 熊の食べ物は、春は山菜、サクランボ、ブナの花芽、木の芽。夏はヒメコウゾ、桑の実は大好物。秋はミズキの実、栗、ドングリ、ブナの実、サルナシ、ヤマブドウなどを食べています。したがって、春は、サクランボのたくさんなっている桜の木に見当をつけて、熊が来ると予想し待っているそうです。桜の木に登って夢中でサクランボを食べている熊を撮影した写真を見せていただきました。また、桑の実も大好物で、仁別国民の森の車道脇にある桑の木の実は、たいがい熊が食べているそうですが、その熊を見た人はほとんどいないそうです。実は車が走っている傍らで熊たちが活動していることを私たちは知らないでいるということです。熊はヒメコウゾ、ミズキの実も食料としてかなり依存しており、木に登り、かなり細い枝のの実に手を伸ばし、木から落ちる熊の写真も見せていただきました。またクルミは1回で50個くらいは食べるそうで、木に登り実を地面に落としてから食べ、外果皮を吐き出して、堅い実はバリバリ噛み砕いてそのまま食べるそうです。太い枝などはかじり取り、枝ごと下に落としてから食べるそうです。直径9cm程度の枝をかじって落とした写真も見せていただきました。ドングリは器用に皮をむいて食べていることがわかる写真もありました。
 森に落ちていたペットボトルで遊んでいる熊、木の上で足を枝に絡ませて昼寝をしている熊、器用に木に股を絡ませて枝先の木の実を盛んに食べている熊の写真、動画などを見せていただき、熊は日頃私たちが考えいる以上にいろいろなものを食べ、知恵を働かせ、森の時間の中で生きているのだなとつくづく感じました。
 熊と出会ったら、興奮させない、大声を上げない、背を向けない、動作はゆっくりだそうです。熊はとにかく人が嫌いで、第一に人に出会わないように逃げる、隠れる、そして襲う、だそうです。熊の能力、嗅覚は100m先でも臭いを感じるようだし、聴覚も優れている、視力も考えられているより良いのではないかと思われるそうです。
 今年のようにブナの実が豊作の年の翌年は熊が増え、熊による被害が多くなるそうです。そこで熊と合わない方法として、やはり鈴、ホイッスルなどを鳴らす、もしかの時のために熊の忌避スプレーを持参するなどで対処してほしいとのことでした。
 野生の熊のこれほど多くの生態写真を見たことがありませんでした。漫然と森の中を歩いただけでは、これほど多くの動物の写真を撮ることはできないと思います。やはり先生のように五感を働かせ、森の空気を感じ、森と一体にならなければ、動物たちが近づいてくることはないと思います。貴重な写真の数々を見せていただき、本当にありがとうございました。